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開講のことば

世界史に刻まれた人間ドラマを
漫画で読んでいた同世代の女子に対し、
われら男子は出遅れました。

何といっても、池田理代子さんの『ベルサイユのばら』です。

スタートの躓きはその後も尾を引いて、
最近ではヤマザキマリさんの
『テルマエ・ロマエ』にまで及んでいます。

日本文学へのアプローチも同様です。

大和和紀さんの『あさきゆめみし』で
『源氏物語』に親しむでもなく、
恥をしのんでいうならば、
里中満智子さんに『万葉集』の時代を描いた大作
『天上の虹』があることを、ついこの間まで知りませんでした。

不明を恥じるほかありません。

ところが、読みだすと実におもしろい!

いまさらながら、夢中になって一気に読みました。

万葉人が、俄然、隣りの人のように近づいてきました!

『万葉集』の魅力は、男も女も、
天皇から名もない庶民まで4500余首もが集大成された、
古代人の直情的で大らかな抒情詩の世界に触れる喜びです。

私たちがいまなお受け継いでいる感性や
思考法の原点を発見する驚き、喜びがあります。

同時に、律令制度が立ち上がっていく時代の日本の歴史と
人間の一大ドラマを体感するおもしろさがあります。

ほぼ日の学校では、万葉人と現代の私たちとの対話を、
さらに劇的に演出できないだろうかと考えています。

『万葉集』の歌を、身構えず、一体化しながら読むことで、
万葉びとの感性の世界と交流したいと願います。

彼らが何を、その時私たちに語りかけてくれるか、
じっと耳を傾けてみたいと思います。

ほぼ日の学校長 河野通和