講師紹介木村龍之介さん

学校長の推薦コメント

シェイクスピアを連続上演している
劇団カクシンハンの若き主宰者である木村さんは、
演劇人生のすべてを
シェイクスピアとともに歩んできた人です。

個人的な出会いは小林秀雄がきっかけでしたが、
こうしてシェイクスピア講座という縁を得て、
切り込み隊長・中継ぎ・抑えと
3回にわたって重要な役割をお願いするのに
これ以上ピッタリな存在はないと確信しています。

講師のことば

高校3年生のとき、アメリカで同時多発テロが起きたり、
近くの小学校で大きな殺傷事件が起きたりして、
これは、きちんと学んでおかないと
わけがわからないことになると思って、
にわかに勉強を始めました。

浪人中にカール・ポパーやドストエフスキーを読み始め、
大学の英文科に入ったものの最初はなじめなかった。

そんなある日、図書館でたまたま手にとったのが『マクベス』。

シェイクスピアってすごいと聞いていたのに、
いきなり魔女登場。ハリー・ポッターか?

読み進めると、「いいは悪いで悪いはいい‥‥」。

なんだこれ? さらに読むと、
「バーナムの森がダンシネインの丘に向かってくるまで
マクベスは滅びはしない」‥‥

またハリー・ポッターか????

でもおもしろくなって引き込まれ、演劇も見てみようと
VHS(古い演劇はVHSだった)で借りてきたのが
「NINAGAWAマクベス」。

舞台は仏壇だし、桜が舞うし、歌舞伎か? なんだこれは!?

と衝撃の一日でした。以来、ぼくは
シェイクスピアにのめり込んでいったのです。

渇きがあったところに運よくシェイクスピアという水を
ごくんとのみ込んだように。

ぼくにとってのシェイクスピアとは、
世界そのものをまるごと許容するもの。

きれいな言葉のあとに下世話な話があり、
いいも悪いもなく、全部ある。

ぼくの演出は世界をまるごと許容するものでありたい。

そういう視座を得ることで、
豊かになっていることは間違いない。

二項対立でものごとを語るのでなく、
まるごと世界を許容する。

それを与えてくれるのが古典なのです。

木村龍之介きむらりゅうのすけ

東京大学でシェイクスピアを研究。

蜷川幸雄の稽古場で演出を学び、 2012年にカクシンハンを立ち上げる。

「ハムレット」「夏の夜の夢」「リア王」 「オセロー」「タイタス・アンドロニカス」 「リチャード3世」「マクベス」など、 多数のシェイクスピア作品の演出を手がける。

現代と古典のクラッシュ(衝突)によって 古典作品が持つ普遍性に新たな角度から光を当て、 同時代のエンターテーメントとして シェイクスピアをアップデートしている。

近年では「シェイクスピア東京」を掲げ、 都市に散在する既製品をプロップとして用い、 俳優の創造力とのかけ合わせによって生み出される 革新的なセノグラフィー(舞台美術)や、 国内外のポップス・ロックの大胆な挿入など、 現代的なセンスによる多様な演出が 大きな話題を呼んでいる。1983年生まれ。