[前篇]知を探求するイメージ
学校のチャイムっぽく始まる
ほぼ日の学校のテーマ曲。
でも、曲のカラーを決めたのは、
あまり知られていないある楽器でした。
それっていったい何だったのでしょう?
まずは第一回目の授業である
木村龍之介さんの講座の1分版動画を
音楽とあわせておたのしみください。
- 今日はオンラインクラスに使われる
ほぼ日の学校テーマ曲がどうやってできたのか、
創作の秘密を聞かせていただこうと思っています。
- それって、ちゃんと読み物に
なるかなあ?
曲は、作った人の頭の中でできて、
今回は関島ですけど、
あとはひとつひとつ録音していくだけです。
はい、おしまい。
になっちゃいますよ(笑)。
- いやいや、そうおっしゃらず。
たとえば、
曲は学校のチャイムっぽく始まりますが、
その着想はどんな風に?
- そうですね。
学校だけど、堅苦しくならないようにとか、
ほぼ日らしく、
みんなが楽しく学べる場なんだろうなー
と思ったので、みんなが入っていきやすい、
楽しい曲にしようと思いました。
- すぐに浮かびましたか?
- そうですね、わりと(笑)。
- 関島さんはいつも早いですね。
- 他の場面で使えるように、
がらっと雰囲気の違うところも
作りたいなと思って、
曲の途中、静かな部分を作りました。
(注・「豆知識」の部分で使われています)
古典の森に分け入っていくイメージです。
- ほぉー。
- 知を探求しているムードを
出せたらなあと思いました。
- はぁー、なるほどー。
- 曲の骨子はそんな風に作ったんですけど、
栗コーダーの場合、
シンプルな楽器の出し入れで曲ができているので、
ちょっとした変化がすごく重要なんです。
最終的には録音をミックスするときに、
楽器の〝出し入れ〟をみんなで確認するんです。
それが曲の「磨き」になるんですね。
この曲の場合は、いちばん迷ったのが、
ウッドブロックの扱いです。
あれが、この曲のカラーに
なっていると思うんです。
- ウッドブロック?
- 木魚を固くしたような音の打楽器ですね。
- コッコッという音がするんです。
ぼくにとっては、
あれが教室のイメージの音色なんですけど、
キャラクターの強い音なので
出し入れに迷いました。
もっと少なく使うつもりだったところ、
最後に川口君が叩いてくれたら、
急に曲がまとまって、
なるべく多う方針となりました。
そんな風に細かい楽器の出し入れや
リズムアレンジはみんなで決めるんです。
時にはミックスの段階で。
- 個別に録音した音源を
ミックスしていくわけですね。
- はい。スタジオの制約によって
1人1人バラバラに録音することも多いので、
録る前のリハーサルが
重要になってくるんですよ。
みんなが一度に一緒に演奏して録音できたら、
気持ちのいいテンポもその場でわかるけれど、
1人1人重ねて録音してあとで聴いてみると、
なんか違うなあということも起こりうる。
だから、録音前にいろんなことを、
決めておくわけです。
- いっこずつ分けて録った音を
録り終わったらミキシングコンソール上にならべて
今だとパソコンモニター上の
仮想コンソールになりますが、
バランスや音質、奥行きをちょとずつ整えて
完成品にしていくんですけど、
けっこう時間がかかるんですよね。
何も知らなかった頃は
録ったら終わりと思っていたんですが、
ミキシングですごく変わるんですよ。
あった音を消すこともできますからね。
- デジタルの時代になって
修正が簡単になったり、
細かい調整ができるようになりましたけど、
逆にやりすぎると音楽が活き活きしなくなったり、
勢いがなくなったりすることがあるので、
そのあたりは経験が必要になるところですね。
- 話をすこし戻して、音楽が生まれる
秘密を知りたいのですが、
メロディってどうやってできるんですか?
- 人それぞれですね。
それぞれのやり方でつくっていると思います。
ぼくらのやってる音楽みたいにシンプルな音楽とか
シンプルなメロディが実は難しくて、
ぜったい誰かが作ってるんですよ、
似たようなものを。
思いついたまんまでいい場合もあるんだけれど、
でも、考えて考えて、
ちょっと人があまりやらないようなことを
すこーし入れたり、コード的に
「ここはみんなこういかないだろうな」と
思うようなことをちょっと入れたり、
そういうことをする場合もあります。
思いついたままだと不安なことはありますね。
- そうそう。
同じような曲がないか、とか
気にしますね。
たまたま覚えていた曲を「できた」と思っちゃう
恐れがあるので。そこは怖いですね。
- 曲をつくるときに、「天から降りてきた」
だけじゃダメなんですよね。
何か肉付けをしないと。
- あ、でもやっぱり〝降りて〟くるんですね。
- まあ、鼻歌みたいなもんですよ。
(つづきます)
2018-06-15-FRI